LOCAL DESIGN LAB

結婚式を手づくりでひらいたこと

2017年の10月に、地域のなかで結婚式とパーティをあげました。

自分もパートナーも、地域のなかで仕事をつくり、たくさんの人たちと関わりながら暮らしていることから(そして、まわりに素晴らしい才能をお持ちの人たちばかりなので)、どこかで式場を借り、コーディネーターに段取りを組んでもらう形での結婚式を挙げることは自分たちの頭の中にはなく、最初から手づくりでつくりあげる式をイメージしていました。

特に自分は、2年間住んでいた福岡で、地域のなかで式を挙げた人たちが身近にいたこともあり、地域のなかで挙げることへの思いを強く持っていました。

アウトドアウェディングやカジュアルな形式の挙式も増えてきていますが、まだまだメジャーではなく、そして自分たちでひらいたこの式は、二人と関わってくれた人たちの関係があってこその形ではあるけれど、一つの形として記録に残しておけたらと思います。


目次

  1. 全体像
  2. スケジュール
  3. 作り上げた人たち
  4. 会場について
  5. 費用について
  6. 開いてみて

1.全体像

自分たちは、

  • 地元の氏神様での神前式
  • 親族の会食
  • 友人を招いてのパーティ
  • 第二のふるさとでの報告会

大きくこの4つに分けてひらきました。

神前式とパーティーを同日に行うことも考えましたが、自分たちの体力のこと、会場の都合などのことから、最終的に神前式と親族の会食を同日に、パーティーを別日に設定しました。その時の判断基準として大事にしたのは、それぞれ「誰と過ごすのを大切にしたいか」ということ。

「親族とは親族で」、「友人のみなさんとはパーティーで」、と分けてそれぞれに時間を作ったことで、ゆっくりと話しができていい時間を過ごすことができました。

第二のふるさとである福岡の大刀洗町での報告会は、新婚旅行も兼ねつつ。
2年間という短い時間だったけれど、大刀洗ブランチというNPOのスタッフして、まちづくりの仕事や、町での暮らしを通じて出会うことができた大切な人たちも式にお誘いをしたいけれど、福岡は遠く、それなら自分たちの方から行こう!という理由から、報告会を開かせていただけることになりました。

地元での式の準備もあり、なかなか動くことができず、でも完全に任せっきりするのも申し訳なく思ってしまい、その結果、お願いがギリギリとなり迷惑をかけてしまい、でもそんなたくさんの無茶振りにも応えてくれて、本当に申し訳なく幸せであたたかな時間でした。

ちなみに、新婚旅行は報告会のあとには、佐賀の親戚に会いに寄りつつ、小値賀に古民家ステイを利用して、2泊してきました。シーズンオフでゆったりとした島時間を楽しみつつも、ただ観光するだけではなく、これからも大切にしていきたいことを確認できた、いい旅でした。


2.スケジュール

式とパーティーの当日までのスケジュールについても書いておきます。

準備を始めたのは少し早いくらいだったのですが、夏から初秋にかけて「式はやめておこうか・・・」となるほどに二人とも体調を崩してしまい、準備を一旦中断することを余儀なくされました。

休みを取ったり、いくつかの病院に通ってみたり、仕事の仕方を見直してみたり、、いくつか試していく中で、少しずつ体調も持ち直し、準備をするにはギリギリなタイミングでもあったけど、9月頃に再開をして、そのあとは怒涛のペースで進めていきました。

5月・・・ウェディングコーディネーターさんに相談
6月 ・・・体調不良にうなだれる
7月頭・・・稲城市の担当課に、会場利用について相談
7月中旬〜8月中旬・・・・体調不良にうなだれる、ほとんど何もできず。
8月末・・・式、パーティーのご案内を送る、招待状を送る準備
9月・・・式の着物試着、衣装準備、各種打ち合わせ、引き出物の手配、パーティー小物の制作
10月・・・引き続き各種打ち合わせ、当日に向けて準備、パンフレットの入稿、福岡報告会に向けて呼びかけ
10月14日・・・結婚式当日、親族との会食
10月22日・・・パーティー当日
11月頭〜中旬・・・福岡の報告会に向けて準備、手配
11月17日・・・前日入り、会場の準備
11月18日・・・報告会当日
11月19日〜21日・・・佐賀経由で小値賀へ

「自分たちで手づくりでひらいた」と冒頭で書きましたが、一度だけコーディネーターさんに相談をしたことがありました。

結婚式をあげることは当然ながら二人とも初めてなわけで、どこから手をつけて、何に気をつけたらいいのか・・・と頭の中が?だらけだったので、ドレスをオーダーしていた方に紹介してもらったフリーのコーディネーターさんに相談をしました。

検討した結果、自分たちで段取りすることにしましたが、プロに一度相談ができたことで、全体像がぐんとはっきりして、その後の進め方がスムーズになりました。自分たちが普段から地域のなかで動いたりイベントを作っていたこともお話して「お二人でもできそうですね」と背中を押されたこともありがたかったです。

9月〜10月は、週に何度も打ち合わせがあり、来てもらったり、お店に伺ったり距離的にも近い関係だからこそ、密にやりとりすることができました。

予算や必要な備品、購入するもの、借りるもの、名簿、タイムスケジュール・・・とにかく全部書き出して資料化しておくことが大切。忙しくてすぐわからなくります・・・。


3.作り上げた人たち

パーティーは、本当にたくさんの人たちの力をお借りして作り上げることができました。ほぼ全て、自分たちのご縁の中で完結できた結婚パーティー。市内の友人を中心に、ご縁のある才能溢れる方々の力は素晴らしかったです。

《司会・ライブ》龍井一磨(ヒーローシンガーソングライター)
《牧師役》攻洋さん(稲城のまちづくりの大先輩)
《パーティー台本サポート》Jiroさん(新婦友人)
《料理》Baraka(稲城市平尾のおいしいイタリアンのお店)
《ドーナツ》HUGSY DOUGHNUTS(聖蹟桜ケ丘の愉快なドーナツ屋)
《ドリンク》いな暮らし

《受付》あやちゃん、さめちゃん(いな暮らしのお勝手さん)
《ホール》ななちん、ゆみりー(いな暮らしのお勝手さん)
《ケーキ・コーヒー》たかやちかこ(天然酵母のパン屋・ぱんノートオーナー / 2017年 close)
《会場演出》アートワークショップユニット コネルテ(ワークショップユニット)
《背景布》Haruka Kusakabe & Moe(新婦)
《パンフレット表紙イラスト》浦和さやか(イラストレーター)
《記録》pen(新郎知人)
《音響・ライブ》太一(CHIBISHIROオーナー /シンガーソングライター)
《BGM》MIMI

《お花》ダブルニットクローバー(店舗を持たず活動しているお花屋さん)
《シャボン玉》木のおもちゃチッタ

《花冠、ブートニア、ブーケ》モリモリガーデン(多肉植物やリース)
《メイク》矢越まりこ

《指輪》 tomilio(新婦の高校の同級生 / ジュエリー作家)
《衣装-新婦》 lecture de minuit(金沢のウェディングドレスのアトリエ)
《イヤリング》aya(刺繍作家)
《衣装-新郎》airu工房(ベスト藍染め)、うなぎの寝床(藍染めのモンペ)、nico(久留米絣の蝶ネクタイ)
《スタイリスト》kope(ご近所の友だち)
《送迎》コーディネーターruri(友人 / 台風のため、駅までの送迎)
《引き出物》株式会社FIO(はちみつ)、bon pin gateaux(焼き菓子)
《石窯ピザのサプライズ》キャンプ場運営のボランティアのMさん、Sさん
(敬称略・順不同)

本当に、ありがとうございました!!素晴らしい人ばかりです。


4.会場について

◎結婚パーティー
市内にある青少年育成施設のキャンプ場(の一部)を借りて開くことを予定していました。

自分たちが小学生の時、夏休みキャンプでも使った懐かしい場所。市役所の担当課の窓口に相談に行き、企画書を提出した後、キャンプ場を維持管理している地域ボランティアの委員会にもかけて承認いただいて、野外ウェディングが実現・・・!となる予定が、まさかまさかの台風直撃!

かなり強い雨風が予想されたので、急遽、奥さんと義理のお母さんが営むお店「いな暮らし」での開催となりました。

始まるまでは「本当に全員(スタッフ含め60人ほど)、あの空間に入るのか・・・」と心配しかありませんでした。

でも、始まってみれば、座ることもできたし、ギュウギュウにもならず、不安も吹き飛びました。あとは本当に楽しみました。
(当日は、急な変更によって会場の準備もままならない状態だったので、入場の10分前まで、準備で、びしょ濡れになりながらゲストの前に出てきていた新郎でしたが。笑)

天井に飾り付けたのは、森のなかで風になびく予定だったガーランドを、なんと当日朝、その場で部屋に合うようにカットし直し飾ってくれたもの!現場で発想して手を動かして作り上げるそのクリエティブさに感激しました。

野外で開催の場合は、雨天時の会場・対応に関しては、事前にかなり綿密にやっておくのが大切。準備していても予期せぬことが起こるので。手伝ってくださった方々の臨機応変な対応に救われました・・・。

◎地元の氏神様での挙式
結婚式は、地元の氏神様で挙げました。年に数組は挙げられているそうですが、告知をしているわけではなく、直接依頼があった場合に受け入れてくださっているそう。電車に乗って向かうような都内の式場ではなく、歩いて来れる地元の神社でやれたことで、ご近所の人も参列しにきていただけてよかったです。地域のなかで活動している二人だからこそ、地域のなかで式を挙げ、幸せな時間を共有できたことはとても感慨深かったです。

◎親族の会食
地元の氏神様で式を挙げたあと、近くのレストランの一室を貸し切っての会食。関西にいる奥さんの親戚のみなさんもきて来てもらえたり、親族で一堂に会す機会もなかなかないもの。親族のみのしっかり時間をとったことは、とてもよかったです。


5.費用について

関わってくださったみなさんの力があったことはもちろんのこと、こだわりたいところにはこだわり、自分たちでやったからこそ抑えられる費用もありました。

仲間の力を借りながら一緒に手間をかけて作っていく。いわゆるホテルで開催するような結婚式、披露宴ではあり得ない進め方だったと、改めて思います。

抑えられた費用

  • コーディネート費用
    • 当然ながら全体の段取りを依頼すればかかるこの項目は0。
  • 会場費
    • 安いから借りた、という理由ではないですが、都内の結婚式場を借りることを考えると、結果的に大きく抑えられた支出の1つ。
  • 印刷物の費用
    • 招待状、当日配付のリーフレット、料理名のプレート、外注すればかかるもの。自分で作ったので、制作費としては0。

パーティーのリーフレット「旅のしおり」は、よくあるプロフィール映像の代わりに制作。ご縁のある地域や訪れた地域の紹介や、コラム「人生の節目に欲しい本・音楽・映画」と題して、信頼する3人にそれぞれ選んでもらったり、読み物としても楽しめるものを目指しました。

表紙イラストは、浦和さやかさんの素敵なイラストを。
森のなかでの開催を予定していたので、冊子のイメージと、この日が自分たちにとってどんな日なのか想起できるような、そんなことを伝えて、素敵にビジュアル化してくれました。

パーティーの「しおり」でもあり、人生を旅に例えれば、この日はブックマーク(しおり)しておきたくなるような大切な日。そんな2つの意味合いを込めて、旅好きな自分たち二人の人生の節目に、そっと挟んでおきたくなるような冊子をイメージして作りました。

こだわった費用

  • 衣装費
    • 新婦のウェディングドレスは、いな暮らしにご縁があった金沢のアトリエ「lecture de minuit」に依頼。minuitの木谷さんは、ドレスづくりを学んでいた学生時代、稲城に住んでいたのだとか。打ち合わせで二人で1度、新婦は合わせて2度、金沢に行っていて、交通費も考えるとこだわったところ。
    • 新郎のベストは型が気に入ったものを大刀洗で藍染めをされている作家さんに染めてもらい、ズボンも藍染めされたモンペを。モンペは、うなぎの寝床というメーカーが現代版に設計し直して、販売しているもの。福岡のものを着たいと思い選びました。一度きりのものではなく、一生物として、大事な場面で着れたらと思っています。
  • 親族との会食
    • レストランの一部屋を貸し切りに。場所代・食事代含めてそれなりにかかりました。でも、親族だけの時間を取ったことで、これから家族として一緒に生きていく人たちと一堂に集まるというのは本当に貴重な時間。両親に向けての手紙も近い距離感で読むことができてよかったです。

6.開いてみて

パーティを開催して早くも半年が経ちましたが、あの時間が、自分たち二人とまわりの人たちの関係性の一つの集大成として、空間としても時間としても形になったのかなと思っています。

自分たちがどんなことを大切にしてきたのか、していきたいのか、来てくれた人たちにも伝わったようでした。普段から心配している母親にも、自分たちとまわりの関係が見えたことで安心できたようで、それもとても嬉しかったです。

2018年4月16日